たまには教養的な時間を得たいと新書本を買ってみる.エマニュエル・トッド氏というフランスの歴史・人類学者の著書,いや,それを読むための予習を対談形式でおこなうといった趣向である.各国の社会文化を家族制度の分類から理解しようとの試みは,ちょっと荒唐無稽に見えて読むうちに説得力を感じる.欧州なんて一括りに考えがちだが,家族類型は異なるようだ. ■絶対核家族:子供は成人すると独立し,親子は独立的で兄弟間の平等に無関心,遺産相続は親の遺言で決定⇒英米など ■平等主義核家族型:子供は成人すると独立し,親子は独立的で相続は子供達の間で男女差別なく平等⇒フランス北部,スペイン,イタリア南部など ■直系家族:通常は長男が結婚後も親元に残り全てを相続,親は子に対し権威的で兄弟は不平等⇒ドイツ,スウェーデン,フランス南西部,スコットランド,日本,韓国など ■共同体家族:男子が全員結婚後も親と同居し,家族が一つの巨大な「共同体」となる.相続は兄弟間で平等,親は子に対し権威的 ■外婚制共同体家族:従妹婚を認めない共同体家族⇒ロシア,フィンランド,中国,インド北部,ブルガリア,イタリア中部など ■内婚制共同体家族:従妹婚を奨励する共同体家族⇒アラブ地域,トルコ,イランなど ホモ・サピエンスは元々核家族だったのが,文明の発展とともに直系家族や共同体家族に移行してきたという.確かに,文明の歴史が長い中国やメソポタミアでは共同体家族となっている.文明の端っこだった英米など西欧は核家族となっており,どちらかといえば野蛮人だという.世界を制した西欧中心の文明観からすれば価値観の逆転である.このうち,外婚制共同家族の地域は共産圏と重なっており,権威主義的な親子関係は共産主義が浸透しやすい社会の素地になっているとの観測である.英国で世界に先駆けて産業革命が起こって大量の都市労働者を生んだのも,絶対核家族の自由度ゆえとのことだ.直系家族の日本が敗戦で気質の異なる絶対核家族のアングロサクソンに従っているふりをし続けるのは無理があるという.そして,アングロサクソンの源流=お手本となって来た英国のインテリジェンスが最近おかしいなど,読書は未だ半ばだが,普段と違った視点から世界を眺めてみるのは有意義と感じながら読み進んでいる.ちなみに,インテリ左派が築いたメリトクラシー(能力主義)が行き過ぎた学歴社会の固定化が社会の...