スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

8月, 2025の投稿を表示しています

文庫本:影の日本史にせまる

  影の日本史?何のことだか分らぬうちに,こんな文庫本を買ったのは6/14のこと,梅田の紀伊国屋書店のようだ.それからからずいぶん経つ.その日の帰京ののぞみ車内で読み切れず,その後の日々の通勤電車は混雑が激しくて文庫本を読む余裕がない.9連休の盆休みの2日目に,ようやく読み終えたところである. 西行から芭蕉へとの副題から,何やら文化史のことだろうかと考えていたのだが,そうとも言えるところもありつつ,読み始めると全く違っていることに気づく.章立ては「西行とその時代」「連歌の流行と俳諧の誕生」「芭蕉とその時代」の3本建てである.西行とは全国を行脚した僧という印象だが,出家する前は北面の武士だったとは知らなかった.そして,芭蕉も全国を行脚している.共通しているのは,和歌や俳句の作品を多く残しているということだ. 全国行脚するのが何故影の日本史かというと,それが隠密の諜報活動だったということのようだ.西行は23歳で出家しているが,そうでなければ,いずれ何がしかの政乱で殺されていた可能性が高いという.実際に,かつての同僚はみなそうなり,出家した西行が源平の栄枯盛衰を見届けることになる.仏道に入って和歌を詠み,多くの有力者と繋がりを持ったようだ.次の時代には,連歌の会が多く開かれるようになる.連歌の会は,身分を越えて対等に会話ができる機会だったという.つまり,諜報活動にはもってこいなのである.そして,それが更に発展したのが俳諧だという.芭蕉は伊賀上野の出身で,奥の細道に付き添った曾良という弟子は,江戸幕府の諸国巡見使の用人を務め,後に諸国巡見使になっているそうだ.諸国巡見使とは,主に外様大名領などを旅して諜報活動をする役割らしい.その情報で,実際に取り潰しになった藩もあるという.連歌や俳諧には,多様な人々から効果的に情報を得るコミュニケーションの手段という意義があったということである.現代では,スパイや衛星にハッキングなど,更に手段は拡大している.ただ花鳥風月を追っていた訳ではなく,そんな動向に繋がって行くとは,勉強が足りなかったと思う.