土曜に図書館で借りて来た文庫本を,月曜の通勤電車で一気に1冊読み終える.辛い話ばかりなので,だいぶん斜め読みもする.多くの生活困窮に向合った著者の,実話にならぬよう創作を加えたという数々の事例に現実味を感じる.章立てされた博士課程難民,法曹難民,海外留学帰国難民は3大難民だろうか?また,そういう難民を支える親や,難民が孤立する社会構造の視点からも解説している.事例には無かったが,これら3大難民以外にも,医学部の国家試験不合格難民があるとも聞く.職業との出会いには運不運もある.特に学者に弁護士や医者,政治家などは,目指しても簡単になれる訳ではない.ハイリスクなのは音楽家や芸術家,そしてプロスポーツの選手なども同じだろう.真面目なところ,取れるリスクかどうかの判断が肝心である.しかし,事例を読むうちに,どこか賭け事にのめり込むような一面もありそうに思う.成算を無視した盲進と言ってしまえばそれまでかもしれないが,信じるものは救われると腹を決めねば進めない道もある.人生の選択とは,それほど単純でもない. 我が来し方を振返ると,様々無念もありながら,どうにか大怪我せずに済んでいることに感謝するしかない.自分の学歴コンプゆえに,娘や倅の受験にはやや過度な期待をかけたかもしれない.もはやここに至っては,行き過ぎなく身の丈に合った職業と出会えるよう,本人の研鑽を祈るしかない.仕事を選ぶときは,自分に出来るかどうかが大切だと,学生の頃に社会人の先輩から聞いたことがある.娘にもそんな話をしたように思う.自分が就職するときも,その言葉を思い出してやや逡巡したのを覚えている.決して成算を信じた訳ではないが,希望と共に清水の舞台から飛び降りる思いもあった.若い頃は何とかせねばと自分なりには努力もした.いろんな人達に助けても貰った.何をやるにせよ,楽に済むわけはない.楽に感じるときこそ,何か落とし穴が待っている訳だ.石を投げれば当たる部類の博士は学者でもない街の技術屋である.いや既に世の役に立つ技術屋でもない.既に定年の延長戦に入ったいま,転んでも大怪我せぬよう用心せねばと,わが身を振返るにはうってつけの一冊である.