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10月, 2023の投稿を表示しています

三宮駅の変遷

意外に知らないことは多いものだ.神戸の代表的な駅といえば三宮駅である.しかし,開業当時のJR三宮駅は現在の元町駅の場所にあったそうだ.えぇ~知らんかった.駅名の由来となったのは近くにあった三宮神社だという.えぇ~,そうなんや.あらためて地図を見ると,大丸の筋向いに確かに三宮神社というのがある.ここはもう何度通ったか分からないほど通っているのだが,そんな神社の存在も記憶になかった.三宮神社は旧居留地の北端に接するように立地している.境内には備前藩の大名行列と外国人の間で起きた神戸事件の碑があるという.それにしても,三宮の神社といえばやはり生田神社である.摂津の三宮が生田神社なのだと勝手に思い込んでいたのだが,あらためて調べてみると,摂津の一宮は住吉大社だが,二宮,三宮は不詳らしい.そして,生田神社は延喜式に載っているが,三宮神社の名はないようだ.三宮神社の公式HPには「祭神は 天照大御神の御子である 女神 湍津姫命」とあるが,「航海の安全と商工業の繁栄を守る神として古くから一般の崇敬厚い」とはいうものの,古い記録がないので創祀などについては極め難いと書かれている.やはり生田神社の方が由緒正しそうである. それはともかく,wikipediaによれば,三宮駅は,大阪~神戸間に鉄道が開通した1874年に現元町駅の場所で開業したそうだ.ターミナルの神戸駅に対して,旧居留地の最寄り駅という位置づけだったと思われる.これまた知らなかったが,明治初年には,生田川は現在のフラワーロードの経路を流れていたのが,旧居留地の水害防止のため1871年に付替工事を行い,翌1872年に跡地がフラワーロードになったそうだ.現在のJR三宮駅はフラワーロードの東側なので,当時は駅ができるような立地では無かっただろう.その後の都市計画で,鉄道の高架化に併せて1931年に三宮駅は現在地に移転している.この間に神戸市の人口は約4万人から20倍の80万人に増加し,市域も現在の中央区と兵庫区の範囲だったのが北・西・垂水の各区を除くインナーシティ全域に拡大しているので,市街地もかなり変貌したと推察される.そして,駅が移転した年に南京町に隣接する現在の元町商店街辺りが元町通という町名となり,1934年に再び現在の元町駅が開業したという.神戸のもとの町という訳である.つまり,1874年から1931年までの57年間は,...

文庫本:人はなぜ眠れないのか

岡田尊司著:「人はなぜ眠れないのか,幻冬舎新書」を読む.電車の中で,ざーっとすっ飛ばして読みたいところだけつまみ読みである.思うように眠れないのは悩ましいものである.長年の無呼吸症候群への対応を始めて半年経った.鼻にマスクをつけて空気を送り込むだけだが,徐々に慣れて一定の効果が得られている実感が出てきている.そうは言っても,そう簡単に思い通りになるものでもない.対処療法なので,止めると効果も無くなってしまう. 広く知られていることだが,睡眠は浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠があり,更に後者の眠りの深さは4段階ある.自分のような場合はノンレム睡眠が足りていないようだ.無呼吸でたびたび窒息状態となり,しょっちゅう覚醒されて睡眠はく奪状態になる訳だ.深いノンレム睡眠を奪うと確実に死に至るらしい.免疫力も低下するそうだ.眠るのは,脳の活動を休めて修復する時間だという.方やレム睡眠時は夢を見ると同時に,身体が弛緩して動かなくなる.金縛り状態はこのレム睡眠時に生じる.レム睡眠では記憶を引張り出しては整理して長期記憶として再び格納する.このときは,変な記憶に反応して身体が動かない方が都合が良い.子供に多い夢遊病はノンレム睡眠時の行動のようなので,夢は見ていないという. 眠れないのにも様々あり,入眠困難,途中覚醒,早朝覚醒,眠りが浅いの4パターンあるという.原因系からは,不眠症(眠れない),睡眠不足による昼間の眠気,睡眠中の異常行動,の3つに大きく区分されるようだ.それぞれに再分類があり,呼吸関連睡眠障害は睡眠不足による昼間の眠気の5つの細分類のうちである.細分類は全部で12に及ぶ.様々な原因系が考えられるので,無呼吸以外にも思わぬ原因があるかもしれない. 不眠を克服するには,自分に合ったリズムを見つけるのが大切だと著者はいう.眠気には3つのリズムがあるそうだ.まず約24時間周期のサーカディアンリズムであり,昼間に覚醒して夜に眠気が強まる.そういえば,照明の明るさをこれに合わせるサーカディアン照明というのがあった.2つ目は約半日周期で眠気のピークが来るサーカセメディアンリズムである.昼過ぎに眠くなるのは食後に満腹になるからではなく,このリズムによるものらしい.3つ目は約90分周期のウルトラディアンリズムで,夜のうちでも眠気が強まったり弱まったりするという.眠くなったときに寝そびれると...

文庫本:脳の意識 機械の意識

通勤電車の中で読む文庫本だが,先週から久々に面白いと思って読み始める.後半になって徐々について行けなくなりつつも最後まで読み終える.人の意識を機械に移し替えられる日はそう遠くないと信じる脳科学者の著書である. 脳=中枢神経系の情報処理のしくみは,電気信号を発するニューロン細胞の多層的な繋がりである.同じようなしくみを計算機で模擬することはできるが,それだけで機械が意識を持つかと言えばそうはいかない.意識は脳内の活動の何処にあるのか?それを探求する研究の進捗状況が書かれている.この分野はここ20年ほどの間に随分進んだようだ.20年ほど前に,東北大の研究者が子ひばりの脳波を観測し,睡眠中に何度も鳴き方の復習をして,親鳥が鳴くときの脳波に近づいていく様子を見せて貰ったことがある.睡眠は脳に情報整理の時間を与えるために必要なのだと知って感嘆した.今どきはf-MRIを使って人間の脳活動を観測する手法が行き渡っているようだ.読み進むうちに,高次レベルのニューロンの繋がりは,生後の経験を反映したものになっている気がした.高次とは,外界の映像を効率的に認識したり記憶したりする,いわば信号圧縮以降の情報処理である.自立できない赤ん坊のまま生まれる訳も腹落ちするし,幼少期でないと会得できない能力があることにも納得できる.そういう高次レベルのニューロンの繋がり具合には個性を生む余地もあるだろう.今のところ,見通しがついたわけではないものの,種々の事例と検証の結果によれば,高次レベルの情報処理アルゴリズムに意識がありそうだとの著者の見立てである.いずれにせよ,中枢神経活動の解明が進むと,享受できる利点がありそうだ. 仮に意識の移植が出来るようになったとすれば...肉体の死後も何らかの情報処理機械に意識を移して意識の生を続けたいと思うか否か?或いは精巧なアンドロイドに乗り移れるなら良しとするのか?そんな時代になったら生身の人間や生命は要らなくなってしまうのか?いや,きっと健康な肉体を奪う奴が出て来るんだろうな?などと,勝手な妄想に夢物語の麓に遭遇した一冊である.

文庫本:生まれが9割の世界をどう生きるか

双生児研究によれば,発現する知能や学歴の影響要因の寄与は遺伝が5割,家庭環境が3割,学校環境が2割だという.能力に対する遺伝と環境の寄与を合せると9割に達する現実を親ガチャと言う.スポーツや芸術など一部の能力では遺伝の影響が7~8割に及ぶものもあるらしい.良い遺伝要因を持っていると,家庭や学校の環境が良くなくても高い能力を発揮する傾向がある.しかし遺伝要因が平均以下だとそうはいかないようだ.収入に対する影響も似たようなものらしい.しかも,環境の影響は歳とともに減少し,遺伝の影響が顕著になるという. 遺伝子研究が進むにつれて,こんなことも明らかになって来たようだ.20年前には分からなかったことである.しかし,学歴などというのは人工的に作られた学校制度を基にした尺度に過ぎない.本当の社会を生き抜くには多様な能力が必要である.自分の居場所を見つけて努力を続ければ,生きていく術はある.超要約すれば,それが処方箋というところだろう.問題は自分の居場所が見つかるか否かである.定年延長部分に突入し,居場所という文字が,あらためて気になり我に返る.

文庫本:日本語の発音はどう変わってきたか

母とは二度会うが父とは一度も会わないのは何故?などというなぞなぞがある.しかし,日本語の音韻の変化を奈良時代までさかのぼって追うと事情が違ってきたりする.そんな日本語の発音の変遷を体系的に解説している一冊である. 本によれば,「日本」はヤマトの枕詞だったという説があるらしい.「飛ぶ鳥の明日香」という明日香の枕詞である飛鳥と書いて「あすか」と読むようになったように,「日本(ひのもと)のヤマト」の日本が国号になったという説である.日本武尊を「やまとたけるのみこと」と読んだりする.日本の訓読みは「ひのもと」だが,音読み(呉音)すると「ニチホン」であり,「ハヒフヘホ」の奈良時代の発音は「パピプペポ」なので,また「ニチ」が促音便になって,古くは「ニッポン」と発音したことになる.時代が下がって「ファフィフフェフォ」から「ハヒフヘホ」へ発音が変り,「ニホン」となる.だけど何故か「ニッポン」と「ニホン」の2通りの読みは混在し続けており,今更どちらかに統一する訳にもいかないのが実情のようだ.用例を調べると「ニホン」が優勢だが,年齢層でいうと,特に若年層は「ニホン」派が多いらしい.大日本帝国は「ニッポン」で日本国は「ニホン」がしっくりくる気がする.日本銀行は正式には「ニッポン」銀行だが,「ニホン」銀行と呼ぶ人の方が多いという.2つの読み方はモーラ(拍)が異なるので,言葉の流れからハマるモーラ数があるのかもしれない.日本橋は早口の江戸っ子の街東京では「ニホン」バシ,古代を引きずる大阪では「ニッポン」バシである. ところで,音読みの呉音は「ニチホン」だが,少し時代が下がった中国の漢音では「ジツホン」になる.マルコポーロが中国を訪れた元朝の頃は日本国と書いて「ジッパン」と発音していたそうだ.「ン」は「ng」のことであり,「ジッパング」と書く方が良いのかもしれない.一方で,16世紀頃に東南アジア交易をしていた中国人の出身地である福建省の方言では「ジップン」と発音しており,それが訛って「ジャパン」になったという説もあるようだ.ルイスフロイスの日本史ではJapam(ジャパゥン)と表記しているという. ともかく,日本の国号に様々な発音が混在している背景は,漢字が表意文字であるという要因が大きいと思われる.