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9月, 2022の投稿を表示しています

大阪の府立高校の進学先

 大阪の府立高校は府内全域で1学区になっているらしい.自分が大学生の頃は9学区あって,母校で大阪出身の学生は,それぞれ学区の1番校か2番校の卒業生が多かった.当時の1番校(より1校多い10校)には文理科なる学科が設けられていて熱心な進学指導がなされているようだ.その成果があったのか?難関大学進学者数の変遷を追って検証する記事がある.ここでいう難関大学とは,東大・京大・阪大・神戸大の4大学である.大阪なので進学者数が多い京阪神の3難関大学に最難関の東大を加えたもの,これ以外にも地方の旧帝大や一工早慶などもあるが,関西視点のボリュームゾーンは押さえているので、ひとつの指標になるだろう. 2021年,2006年,1992年という約30年間の3断面を見ると,いずれも北野が首位で岸和田が最下位である.北野は2006年の東大進学者数では天高に首位を譲っているが,関西では東大より京大を選ぶケースもあるので,ここはあまり気にするところでもない.北野は京大進学者数で全国1位を誇る.岸和田が最下位なのは他より人口が少ない学区なので仕方がない.中間帯は,三国丘・茨高・天高の上位グループとそれ以外の下位グループに分かれている.上位グループでは天高が上昇傾向で三国ヶ丘が低下傾向である.下位グループでは生野が低下傾向,大手前がやや上昇傾向だが,最近の豊中の急上昇が目に付く.豊中は9学区時代は北野と同じ学区の2番校だったのだが,10校の中位につけてかつての1番校グループ入りを果たした感もある.そうは言っても,全体的にはあまり変わり映えしないように思っていたが,よく見ると横軸のスケールが違っている.1992年の北野が260人ほどなのに対して,2006年は120人余りに半減し,2021年に200人弱まで回復している.私立に押されていた府立高校復活というところだろうか? そんなことを考えながら母校の建築科の卒業生名簿を見ると,各人の出身高校が記載されている.母校は上記のグラフでいうと4番手なので,北野で顕著なように,トップ校になると進学者数はむしろ減る傾向もある.試しに高校別の人数を集計してみた(暇!).全部は無理なので新制初期の12年間(S29~40年卒)の322人と共通1次試験開始から4年間(S58~61年卒,自分は60年卒)の347人である.戦後まもない新制初期には兵庫県下の出身者が圧倒...

文庫本:キラキラネーム大研究

 3連休で1冊読破する.我が子の名前がやや難読になったことを振り返りつつ,世にいうキラキラネームと同類なのか少し気になりつつ読み始める. そもそも名は古くよりかなり自由に用いられて来たようだ.難読になってしまうのは,漢字という表意文字にヤマトことばを当てて読むことに起因するようだ.兼好法師や本居宣長も,それぞれ,同時代の難読名に苦言を書き残しているらしい.源頼朝の「朝(とも)」など読めないと言われると確かにそのとおり,教科書などで見慣れているから読めるのである.明治維新で戸籍を作るために平民も苗字を名乗らねばならなくなり,右往左往で難読苗字が氾濫することになった.これは明治31年にみだりな苗字の新設が禁止されて一段落したが,名の方は制限がない状態が続いたようだ.読み方に制限が無いのは現在でも同じだが,これは昔からの伝統のようだ. 敗戦後に煩雑な漢字は良くないとされ,簡略化政策がとられた.その結果,漢字の持つ意味や成立ちを無視して平易化された当用漢字や常用漢字が定められた.これによって,概ね5万ほどある漢字は,厳選された2000字程度を使うことが推奨されるようになった.当用漢字は煩雑な文字や部首を簡易なもので代用したり,読み方を限定したり,由緒ある漢字を改変して表外用法を禁じたのである.これはやり過ぎとの反発を招き,人名漢字が100字ほど追加されたり,表外用法を必ずしも禁じない常用漢字へと変遷して現在に至る.著者はこの戦後の簡略化政策が漢字を表意文字から記号のようなものに変質させてしまい,昨今隆盛を極めるキラキラネーム現象を生み出したと考察している.この現象が指摘されるようになった1990年代は第2次ベビーブーマーが子育て世代になった頃である.親世代から戦後の漢字教育を受けたので,世代間伝承等も含めて本来の漢字を知る由がなかったという訳だ.これは炭鉱のカナリアだと,国語文化の行く末を案じている. さて,読み終えて我が子の命名をあらためて振り返ると,いずれも「よみ」つまり「ことば」を先に決め,それに込める想いに沿った意味の漢字を当てたので,まさにヤマトことばに漢字という表意文字を当てた日本語の軌跡と同じだった訳だ.難読になってしまったのは仕方がないと納得する.そして,娘と倅の名に用いた4文字のうち,3文字は常用漢字表に載る読み方だが,「日」を「はる」と読むのは表...

文庫本:文学部の逆襲

経済成長に寄与しない人文系の学部は縮小・統合して理系を強化せよという安倍政権の政策にはかなりの違和感を持っていたが,その違和感を論理的に解説してくれた書籍があったので読んでみた.著者は東大経済学部を卒業した経営戦略コンサルである.今こそ人文知が求められている時代だとの主張だが,読んでみると心中のモヤモヤが氷解した.全く同感である. まずは自由と平等という互いに相容れない理念を共存さえながら発展して来た資本主義経済の歴史からひも解く.自由競争に任せれば必ず弱肉強食となって平等にならず,平等を希求すれば努力や発展は無くなる.自由に寄りつつ地力で比較的混乱を避けて経済発展したのが英国,バランスを取り切れず革命という体制転換を伴ったのがフランスである.方や自由競争のプレーヤーが居なかったロシアでは平等に寄った社会主義経済を模索したが,やはり経済発展で後れを取って1990年頃に社会主義(共産)圏は崩壊した.その後,大資本が政府を買収してしまった西側のG7を中心に新自由主義がはびこって,まさに弱肉強食が進展し顕著な格差社会に向かっている.その結果,どの国も国内市場は成長せず経済成長は極めて鈍化してしまった.資本主義と共産党独裁の共存というアクロバットを繰り広げる中国も,体制崩壊防止のため共同富裕というブレーキをかけねばならないようだ.ここは仰る通りである. そもそも人は生産者と消費者の2つの立場を持っているという.確かにその通り.貧しい時代には生存のために全力を挙げて生産活動に邁進せねばならない.農業という安定した生産手段を得た時代でも,農民や農奴は馬車馬のごとく働いてその暮らしをほぼ生産活動に尽くさねばならなかった.消費者となったのは貴族や武家などの支配階級である.それが産業革命という飛躍的な生産性向上によって,人類の多くは肉体労働から解放又はその度合いが軽減され,生産者であり消費者でもある大衆が主体の社会となった.しかし,格差社会は総じて,消費者のボリュームゾーンである大衆の立場を弱め,社会の発展を妨げている状態になっているという訳だ.なるほど,商品が売れなければ経済は廻らないのは道理である. ここでいま,AIという技術が登場し,急速に発展しようとしている.産業革命が人間の肉体労働に代る生産システムをもたらしたのに対して,AIは人間の知的労働に代る生産システムをもたらすとい...

G7の国歌+

  エリザベス女王の葬儀を想ううちに,英国国家のGod Save the QueenがGod Save the Kingにならざるを得ないことに思い至った.国歌というもの,時代を経て歌詞が変ってもメロディは引き継がれるものだというのは,帝政ロシアからソ連を経て今のロシア連邦に至る国歌の変遷が好例だと思われる.それはともかく,あらためてG7の国歌を聞き比べると,いずれもお国柄が現れて聴くに楽しい.個人的には英国国歌は大好きだが,それにも増して君が代の雄大で独特な曲調は元邦楽部員として感慨深い.元々はギターソロのような簡素な曲をオーケストレーションした編曲の技に敬意を表する.陸軍分列行進曲も良いのだが,もっと自然で素直に心から溢れる音楽だと思った.それとは対照的なのがイタリア国歌である.まるでヴェルディのオペラ序曲のような情熱的な曲調はいかにもイタリアである.国民性の違いといえばそれまでだが,いささか興奮しすぎじゃないだろうか?ここはG7だが,名曲ロシア連邦国歌を同列に並べて聞く気にならないのが残念でならない.一時はG8と呼ばれたときもあったのに,政治的な思いが違ったようだ.せめて音楽の世界は国境や紛争と離れて思うままに楽しみたいと思うのだが,古来から音楽は様々な権威に利用され続けてきたのである.そんな歴史を想いつつ,エリザベス女王の治世に暮らして来たことを感謝しつつ,引き続き平和な暮らしができることを祈った.God save the Queenの時代に感謝する. こんなロシアは好きだけどな!:でも背景の色は違くないか? https://www.youtube.com/watch?v=BDP2O1IBrfo 何だか分からないけど,こんな風に歌った君が代もある. https://www.youtube.com/watch?v=5N6k9aCfPwk だけど,こんな英国には敵わないかもなぁ?でも…何だかかみしも着て刀を差したお侍の世界のような気もする. https://www.youtube.com/watch?v=n0efXhVvvGI それでこちらの国,いろいろ問題はありつつ,TPPをやったり,こんな国防意識を喚起したり,そんな業績は振り返れば時代の流れに沿うのかもしれない.国葬を巡っての判断は分れるようだが,迷うぐらいなら静かに祈って送っておきたい気がする. ...

文庫本:ゾウの時間ネズミの時間

職場で薦める人があって読んでみることにしたのでが,30年前に刊行された名著は思いのほか面白かった. 幅広い生物に当てはまるサイズと時間に関する法則,時間は体重の1/4乗に比例するそうだ.ゾウはゆっくり動いてネズミはちょこちょこ動く.それぞれの時間がある.ゾウの寿命はネズミの寿命より長い.だけど,息を1回吸って吐く間に心臓が4回鼓動するのは同じ,寿命を鼓動時間で割ると一生に20億回鼓動を打つのも同じになる.こんな法則が哺乳類に限らず動物一般に当てはまるという. 方や基礎代謝量や食べる餌の量は体重の3/4乗に比例するそうだ.だけど,恒温動物は変温動物より全体的に多く食べる.体温を維持するエネルギーが余計に要るからだ.食べた餌は呼吸で燃焼して生命維持に寄与する部分,身体の成長に組込まれる部分,排せつ物となる部分に大別される.それぞれまた,概ね体重の3/4乗に比例するが,恒温動物と変温動物ではその構成比が異なる.変温動物は食べた餌の20%が成長に寄与するのに対して恒温動物は2%に留まる.ウシなどの恒温動物を食べるのはエネルギーの観点からすれば贅沢なことらしい.そして,現代の日本人は一般的な恒温動物に比べてかなり多くの食料を消費している特異な存在のようだ. そんな法則から始まって,様々な生物のつくりを解説している.難しい理屈も無く,気軽に楽しく読める一冊である.