中間選挙でねじれ状態になった米国議会にどのような影響が出るのか?報道記事を読んでも良くわからない.これは米国議会について理解する必要があるとサーチしたみずほ総研の報告書を読み,理解のため要点をメモにしてみた.
政権与党の政策遂行には予算審議が重要なところだと思われるが,日本と違って多年度予算主義を取っているせいか複雑である.しかし,政策継続の観点から利点もあり,二院の役割も違いが明確でよく練られた感を持った.
さて日本の国会を思うと,衆参の違いが分かりにくく,何のための二院制かはっきりしないと思ってしまう.衆参共に選挙区と比例代表の並立制で役割も分りにくい.個人的には参議院は選挙区を止めて比例代表のみ,衆議院は比例代表を止めて小選挙区のみにすれば少しは良いように思うのだが…
米国議会の仕組み,運営,審議の流れ
■仕組み
>院の構成,議員の任期・定数
上院:州の代表(各州から2人),6年・100
下院:国民の代表(人口比例),2年・435
※小選挙区制
上院:州の代表(各州から2人),6年・100
下院:国民の代表(人口比例),2年・435
※小選挙区制
>専門性,議員当りのスタッフ数
上院:ゼネラリスト,30人
下院:選挙区の民意のスペシャリスト,10人
下院:選挙区の民意のスペシャリスト,10人
>権限
上院:条約の批准,大統領指名人事(閣僚や最高裁判事等)の承認
■運営
>政党指導部
議長,院内総務(leader,各党),院内幹事(whip,各党)
議長,院内総務(leader,各党),院内幹事(whip,各党)
>議長
上院(president):議員が交代で就く,議決が50対50の決選投票は副大統領
※多数党の院内総務が実質的な権限を持つ
下院(speaker):大統領,副大統領に次ぐポスト(継承順位)
※多数党の院内総務が実質的な権限を持つ
下院(speaker):大統領,副大統領に次ぐポスト(継承順位)
■法案審議
>議案
・法案:上下両院で可決し大統領が署名して法律になる
・決議案:単純決議案(各院の意思表明),一致決議案,合同決議案がある.
※議案は全て議員立法:提出(議員)⇒採番⇒委員会付託
・法案:上下両院で可決し大統領が署名して法律になる
・決議案:単純決議案(各院の意思表明),一致決議案,合同決議案がある.
※議案は全て議員立法:提出(議員)⇒採番⇒委員会付託
>委員会
・常任委員会(上院・下院)
・特別委員会(上院・下院)
・合同委員会(両院)
※議案の採用は委員長が決定⇒公聴会⇒マークアップ(細部の詰め)⇒修正案採決⇒全体採決⇒通過の場合は本会議へ
・特別委員会(上院・下院)
・合同委員会(両院)
※議案の採用は委員長が決定⇒公聴会⇒マークアップ(細部の詰め)⇒修正案採決⇒全体採決⇒通過の場合は本会議へ
>本会議
※委員会可決法案の審議(委員会否決修正案・新規修正案の採決含む)⇒投票
>フェリバスター(議事進行妨害)
下院には議員の発言時間に制限があるが上院にはない(少数党の権利保護が本来の目的).長時間の演説,修正案の連続提出等の牛歩戦術による妨害だが,実際には発動圧力をかける場合が多い.回避するにはクローチャーの手続きが必要
※クローチャー:クローチャー動議を提出⇒3/5(60票)以上で可決⇒30時間以内の採決が必須
下院には議員の発言時間に制限があるが上院にはない(少数党の権利保護が本来の目的).長時間の演説,修正案の連続提出等の牛歩戦術による妨害だが,実際には発動圧力をかける場合が多い.回避するにはクローチャーの手続きが必要
※クローチャー:クローチャー動議を提出⇒3/5(60票)以上で可決⇒30時間以内の採決が必須
>両院協議会
可決された両院の案が一致しない場合の再調整を実施
※各院委員長・委員の選出(各院の過半数)⇒協議⇒両院協議会報告書の可決⇒上下各院で可決(議会通過)⇒大統領署名
可決された両院の案が一致しない場合の再調整を実施
※各院委員長・委員の選出(各院の過半数)⇒協議⇒両院協議会報告書の可決⇒上下各院で可決(議会通過)⇒大統領署名
■予算審議
>予算教書
※大統領の政策⇒予算教書の作成(行政管理予算局=OMB)⇒議会提出(2月)
※大統領の政策⇒予算教書の作成(行政管理予算局=OMB)⇒議会提出(2月)
>経費
・裁量的経費:毎年の歳出法案で金額を決めるもの(約36%)
・義務的経費:現存法で金額が定められているもの(約55%)
・補正支出及び利払い
※裁量的経費には国防費、高速道路建設費、宇宙開発費、教育関係費、対外援助費、FBI 費等が含まれる.義務的経費には公的年金や生活保護等が含まれ,毎年定める必要は必ずしもない
・裁量的経費:毎年の歳出法案で金額を決めるもの(約36%)
・義務的経費:現存法で金額が定められているもの(約55%)
・補正支出及び利払い
※裁量的経費には国防費、高速道路建設費、宇宙開発費、教育関係費、対外援助費、FBI 費等が含まれる.義務的経費には公的年金や生活保護等が含まれ,毎年定める必要は必ずしもない
>歳出権限と支出
・歳出権限:多年度にわたる歳出の限度額
・支出:毎年実際に使う額
※日本の予算と違って多年度予算主義となっている
・歳出権限:多年度にわたる歳出の限度額
・支出:毎年実際に使う額
※日本の予算と違って多年度予算主義となっている
>予算決議
・予算委員会:歳出,歳入,財政赤字,債務残高の限度など予算の全体像を示す予算決議案を作成する
・議会予算局:OMBが提示した政策コストと独立して政策コストを計算・調整する
・予算決議案の審議には時間制限がありフィリバスターはない
※予算教書の提出(2月)⇒各院委員会の意見提出⇒予算決議案作成(3月)⇒各院本会議で審議・成立(4月)⇒両院協議会⇒予算決議成立(4月15日期限)⇒不成立の場合は各院独自措置で歳出枠を定めることがある
・予算委員会:歳出,歳入,財政赤字,債務残高の限度など予算の全体像を示す予算決議案を作成する
・議会予算局:OMBが提示した政策コストと独立して政策コストを計算・調整する
・予算決議案の審議には時間制限がありフィリバスターはない
※予算教書の提出(2月)⇒各院委員会の意見提出⇒予算決議案作成(3月)⇒各院本会議で審議・成立(4月)⇒両院協議会⇒予算決議成立(4月15日期限)⇒不成立の場合は各院独自措置で歳出枠を定めることがある
>財政調整法
予算決議成立後に,財政赤字削減法案の迅速な成立を目的とし審議プロセスを制約する仕組み(審議は20時間が限度,法案の主旨と無関係な修正案は提出不可).60票無くてもフェリバスターを回避できる.
・財政調整指示:歳入法案や義務的経費削減法案又は減税法案の作成
※各院の所轄委員会で法案を作成・調整⇒本会議⇒両院協議(5月)
予算決議成立後に,財政赤字削減法案の迅速な成立を目的とし審議プロセスを制約する仕組み(審議は20時間が限度,法案の主旨と無関係な修正案は提出不可).60票無くてもフェリバスターを回避できる.
・財政調整指示:歳入法案や義務的経費削減法案又は減税法案の作成
※各院の所轄委員会で法案を作成・調整⇒本会議⇒両院協議(5月)
>歳出法案
・302(b)割当:裁量的経費額を13の歳出小委員会へ割当
・302(a)割当:義務的経費に対する大枠の設定
・オムニバス歳出法案:未成立歳出法案の一括処理方法
※各院歳出委員会の公聴会⇒302(b)割当⇒13本の歳出法案⇒歳出員会⇒本会議⇒両院協議(9~10月)⇒オムニバス歳出法案の作成・審議・成立(11月)
・302(b)割当:裁量的経費額を13の歳出小委員会へ割当
・302(a)割当:義務的経費に対する大枠の設定
・オムニバス歳出法案:未成立歳出法案の一括処理方法
※各院歳出委員会の公聴会⇒302(b)割当⇒13本の歳出法案⇒歳出員会⇒本会議⇒両院協議(9~10月)⇒オムニバス歳出法案の作成・審議・成立(11月)
みずほリポート:米国の予算審議プロセス(Ⅰ):

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