昨日の朝,肩のリハビリで京成大久保駅前の整形へ行くと未だ開いていない.仕方がないのですぐ近くの図書館へ行って利用登録し,本棚を眺めるうちに興味を引くタイトルの新書本があったので借りて来る.方言といえば語彙やアクセントにばかり注意しがちで,ものの言い方に着目した話はあまり聞いたことがない.35年前に上京したとき,自分が話すアクセントや語彙は直ぐに標準語風に補正できたが,周りの話し言葉にはどこか腑に落ちない感覚があった.それは,ものの言い方だったのかもしれないと思った訳だ.
著者のお二人は東北大文学研究科の博士課程を修了しておられる.新潟から東北へ進学したり関西へ転職したり,異なる地方へ移り住んだ経験がおるようだ.読んでみると,ものの言い方には日本の東西でかなり差があり,関西(近畿)と東北が両極の典型のようだ.こういった研究は未だ少ないようで,データ数は少ないながらも,その差を7つの発想法という骨格で整理している.
②定型性:場面に応じて決まった言い方をする傾向,
③分析性:場面を細かく場合分けした定型の用意,
④加工性:ものの言い方が間接的か直接的か,
⑤客観性:ものの言い方が客観的か主観的か,
⑥配慮性:気遣いを口にしやすい傾向,
⑦演出性:ボケとツッコミなど会話を作ろうとする姿勢,
の7つの軸である.いずれの軸も正の方向は発想法が発達している傾向であり,全般に関西は東北より正の傾向が強い.関西人目線で言えば,東北人は口数が少なく,口下手でぶっきらぼう,直接的で自分目線なもの言い,言いっ放しで愛想が無い,といったところである.地域類型として,
準発達地域:西日本の九州以外及び関東(特に東京),
準未発達地域:東北以外の東日本及び九州・沖縄,
未発達地域:東北,
という区分が示されている.このような差は,社会文化の東西の違いやいわゆる同心円文化圏,更には都市化・商業化の度合いを反映しているとの考察がなされている.
近年はテレビの影響もあり,特に関西出身の芸能人の影響力が増している気もするので,地方による差は縮小傾向ではないかとも推察する.自身は昔から関西人にしてはあまり発達した部類では無いと思っており,また関東に暮らして長いのだが,客観的なところは身近な知人友人の評価を聞いてみないと分からない.関西人の喋りのイメージは主に京阪の都会文化が形成したものと思うところもあり,淡路島や神戸辺りの兵庫育ちの位置づけが気になったりする.
それはともかく,こういう研究が何の役に立つのか?といえば,会話で感じる違和感が個人のパーソナリティに起因するのか?育った地方の文化に起因するものか?両者が一緒くたに捉えられている実情が多いところ,区別して認識することが会話の相手に対する理解を深め,人間関係のミスリードを低減する実用性があるように思われる.特に転居や旅先の機会で活用できればと,更なる研究の進展を望みたい.

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