夏休み前半の初日,午後はひとり昼飲みのあと,半分残っていた文庫本を一気に読み進む.著者は自分と同じ年に大学に入り,自分の修士修了と同時に千葉大医学部を卒業した医者である.生まれは1年先輩のようだ.大学の医局で小児外科の研究を続けるうちに脳動脈瘤という治療困難な大病を患い,ストレスという脳への負担軽減のため44歳で退職して開業医を始めたという.場所は自宅から車で30分ほど,近くに時折り訪れる酒屋がある.44歳といえば,自分が組織管理者になった頃に近い.希望の研究職を辞して医院を開業する顛末から町医者の良し悪しの見分け方など,開業医としての想いをストレートに書き連ねた1冊である.取材もデータも無い,手記に近い内容である.開業医になって生まれた自由時間を読書ともの書きに費やしたようだ.8000本を超えるブログを手始めに,毎年1冊のペースで出版しているらしい.クリニックのHPを観ると,更に様々な想いが書き連ねてある.子供の命を預る小児科医の誠実な想いの数々である.
勝手な親近感を抱いて読み進んだが,大した業績もなく大酒飲んでくだらないことばかりfacebookに書き連ねる自分とは比べようもない.仕事を通じて何らか人のためになったとの想いは無くもないのだが,どちらかと言えば,自分はただ,興味のままに過ごして来たと思う.果たしてこれで良かったのだろうか?この開業医ほど確信に満ちた自己肯定感は全く持てない.夏のひとり旅を前に,自分と向き合うきっかけになった1冊である.

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