図書館で引き取ってカフェに入店する.今更ながらに「教養としての建築入門」という建築の入門書を紐解いて読み始める.著者は大手の設計事務所に勤めたあと,信州大の教授を経て今は理科大の教授らしい.第1章のタイトルは建築の歴史である.大そうな題目だが,記事はたったの12ページだ.一瞬で読み終えるが,日本建築史と西洋建築史と近代建築史をさらっと要約し終えてしまう.うーん,こういうまとめもあるのだと畏れいる.そして,5日ほどかかって読み終える.全体としては,
第2部:建築の作り方,
第3部:建築の活かし方,
の3部構成である.第1部はいわゆる建築論で学生時代の授業を思い出す.第2部は長年の勤めで見て来たことである.第3部は建築と現代社会の関係を論じた現代建築論といえば良いだろうか?読むうちに政治が建築を利用した好例としてファシズム建築という一節があり,そういえばそんなのもあったなと思い出す.以下は本の紹介という訳でもないが,記録しておく.
あらためて振り返ってみると,ファシズム建築はムッソリーニのイタリアに始まるようだ.装飾を取り払い合理的な実用工業製品のような作りの近代建築に,民族の伝統的なデザイン要素を合体させているのが特徴らしい.イタリア文明宮はその代表例だという.イタリアらしいカッコよさはさすがだと思うが,今もファッションブランドのFENDIの本社として使われているようだ.
ファシズムの代表はやはりナチス・ドイツである.ナチスの党大会を行ったニュルンベルクのツェッペリン広場が代表例のひとつだという.写真を観ると記憶の底に沈んでいたイメージが蘇った.人間を群衆化して鼓舞するには,こういう広場が好都合のようだ.ただ機械的に繰り返すパターンはイタリア文明宮に通じるところがある.建築家の作品というよりは,ヒトラーが作ったという方がしっくりくる.
この頃,独伊と同盟国だった日本にも,ファシズム建築があったようだ.旧帝室博物館で,自分も東京国立博物館になってから訪れているが,建物の記憶は全くない.西洋風の外壁に神社の屋根を載せたと言えば腹落ちするが,素直に美しいと思えない不思議な雰囲気を醸し出している.
日独伊の敗戦でファシズム建築は終わったかというと,そうはいかず,社会主義建築に繋がっていくようだ.そう聞くと,先ず第3インターナショナル記念塔を連想するが,理想論過ぎて実現しなかったのは記憶している.もうひとつ,ソビエト宮という,聳える尖塔の上にレーニン像が載る建物も実現していない.ロシア正教の大教会を解体した場所に計画されていたらしい.これは記憶に無かった.社会主義は尖塔がお好きなようで,実現した代表例がモスクワ大学だという.
人民英雄記念碑という塔が北京の天安門広場にもある.尖塔は独裁や権威の象徴なんだろう.そして,広場に面する人民大会堂も社会主義建築の好例なのだそうだ.社会主義はその理念のもとに世界を統一するの目的があるので,民族の伝統的なデザイン要素は抑えられ,国境レスになるのがファシズムと異なるようだ.その抱く野望と権威主義的思想が如実に現れている.






コメント
コメントを投稿