石見銀山のことを書いた本だと思って読んでみたのだが,それはそうでも結構広がりがあった.先ずは昔々の人口だけでなくGDPも推計できるということである.日本の1人当りGDPはずっと中国よりも低く,世界でも貧しい部類の国だったようだ.中国を抜いて世界の先進国に追いつくきっかけを作ったのが石見銀山で産出した銀だという.江戸時代に貨幣経済が発達していたおかげで,明治期の国力の発展が成ったとの説明である.
石見銀山という地味な遺構が世界遺産に登録叶ったのは,昔からの建物や坑道の保存もさることながら,江戸期から植林に励んで自然環境の保全を継続して来た実績所以だという.世界中の鉱山跡地は禿山なのに対して,継続的な植林のおかげで植生の大きな変化は免れたようである.ここに普遍的価値を見出し,イコモスの芳しくない評価を覆した審査の裏で奮闘した外交官の証言が印象に残った.

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