年末に読み始めた文庫本だが,9割がた読み進む.タイトルに教養とつくだけあって内容は歴史や文明論に社会学から人類学まで多岐にわたっている.もちろん宗教と科学技術も含まれている.中でも記録しておきたいことのひとつは,人類と類人猿の違いに関する考察である.
結論をいうと「三項表象の理解」ということらしい.チンパンジーに言語(のようなもの)を教える研究が進み,ある程度のコミュニケ―ションができるようになっているそうだ.チンパンジーがヒトに話しかけるのは「〇〇してほしい」といった自分の欲求を満たす「ものの要求」に終始するらしい.一方でヒトの赤ちゃんでは,指さして「ワンワン」だとか「お花,ピンク」だとか,見たものを描写して母親などの第3者と想いを共有する確認だという.この「共同注意」の発生が言語の発生につながると考えられているという.チンパンジーの世界は自己と他者の二項関係でしかなく,一旦おもちゃに夢中になったチンパンジーの子供は,母親を振返ることはないそうだ.チンパンジーが夕日を指さして「夕日がきれい」だとは言わないのだという.美意識は,ヒトならでは持ちうるものらしい.この共同注意に端を発する三項表象の理解が,知識の共有と蓄積の基盤となる能力なんだろう.
もうひとつ,言語の目的はコミュニケーションだと考えがちだが,そうではなく思考の道具だという説があるらしい.言語使用のほとんどは実は心の中で起こっており,ヒトは常に自分自身に語りかけているという.言語を持つことによって比喩する能力ができ,ひとりの人間の中で別々に機能していた博物的知能(周辺環境を理解する能力),技術的知能(道具を作成・改良し使いこなす能力),社会的知能(同じ共同体のメンバーの気持を理解しコミュニケーションをとる能力),といった神経機能が互いに結びつき,応用されることで人間の能力が飛躍的に向上したという説である.そう言われると,声に出す出さないはさておき,しょっちゅう独り言をつぶやいている気がする.それをまた,文字に書き起こしてこういったところへメモ代わりに投稿する訳だ.そして,読者がいれば三項表象の理解へと繋がる.
さて,そろそろ寝るかな?

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