著名な民族学者の梅棹忠夫氏は京大で生態学を学んだ理学博士だそうだ.氏が1957年に発表した「文明の生態史観」という有名な論考がある.それによると,ユーラシア大陸の端に位置する西欧と日本は第一地域に属し,その間の広大な大陸部分を第二地域としている.第二地域では史上の早期に巨大帝国が成立するが,それらは制度などに問題を抱え,没落していくという.逆に周縁の第一地域は気候が温暖で外部から攻撃されにくいことから,第二地域から文化を輸入して発展し,安定的で高度な社会を形成できるとしている.添付画像はその模式図を示している.
第二地域の中央には乾燥地帯が広がり,その周りに
中国(Ⅰ),
インド(Ⅱ),
ロシア(Ⅲ),
地中海・イスラム(Ⅳ),
インド(Ⅱ),
ロシア(Ⅲ),
地中海・イスラム(Ⅳ),
の各世界がある.確かに,モンゴル帝国は中央の乾燥地帯を越えてⅠ・Ⅲの世界を繋ぎ東欧に至る北半分を支配したが,西欧と日本はその支配を免れることができた.Ⅰ~Ⅳの各地域では,何度も大帝国が形成された.南北アメリカとオセアニアやアフリカ(サハラ以南)が含まれていないという問題もあり,このモデルで歴史の全てを説明できる訳ではないが,世界情勢を眺める上でひとつの基盤となりそうだ.

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