先週に読んだ文庫本だが,仮説の部分もありながら,ヤマト統一政権の成立ちに関する解説がなかなか腹落ちする.著者の瀧音氏は早稲田大日本史学科のご出身で,古代出雲地域史の研究で博士(文学)の学位を取得,駒澤大の教授を経て現在は名誉教授というれっきとした歴史学者である.
邪馬台国の所在地は畿内,卑弥呼はヤマト統一政権の祭祀を担う初代の神聖王だという.統一政権成立前の倭国は,交易ルートによって5大勢力+1に分れていた.後漢に朝貢して金印を授かった奴国は伊都国と共に北部九州勢力を代表していた.
三国時代になって魏が朝鮮半島支配を強めると,これに対応すべく各地の勢力は会同し,会盟を結んで奈良盆地の纏向に統一政権を樹立する.最初に吉備の瀬戸内海中部連合と畿内連合,追って東海連合+タニハ,次に北部九州連合が加わり,最後に出雲連合が加わった.
初期のヤマト統一政権では,祭祀を担う神聖王(主系列)と軍事を専門とする執政王(副系列)が並立する体制だったのが,紆余曲折を経て天皇に収斂したという.論拠などの詳細は割愛する.
征服ではなくて会盟によって統一されたという国の成立ちや,権威(祭祀)と執政が分離していたという体制は,その後の日本の歴史や現代の日本人の気質や政治体制にも引継がれている気がする.そういう意味で納得感のある一冊だと思う.



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