いろんなことをしなくなる年齢について調査した結果があるそうだ.〇〇寿命と称しているようだが,かなり長期間にわたって継続している調査らしい.どの寿命を見ても,自分は既に調査結果が示す寿命を超えている.あらためて,そんなことを何歳ぐらいまでしていたか?振返ってみる.
ぼく寿命:全く思い出せないが,TPOにもよるものの,身内の雰囲気の中では年齢によらず使う場面があるのではないかと思う.調査結果は40歳半ばのようだが,職場などでもっと高齢の具体例に心当たりがある.
深酒寿命:頻度は減って来たものの,最近でもつい深酒になってしまうことがある.厄年の42歳辺りという調査結果だが,確かにその頃は電車を乗り過ごして成田からタクシー帰りとなることが多かった.
大盛寿命:これも厄年の42歳辺りという結果のようだ.確かに大盛を頼むことは少ないが,貧乏性なので大盛無料だとつい頼んでしまうことが今でもある.
新製品寿命:好奇心豊かな若い頃は先んじて新製品やトレンドを追った記憶があるけれど,やはり,いろんかことが厄年辺りで変ったように思う.40歳半ばになって,職場でも部下を持つようになったことも関係するのかもしれない.近頃は,時代に置いて行かれないよう言葉だけは追っている気がする.
人ごみ需要:調査結果は50歳辺りのようだが,これは30歳ぐらいだったように思う.元より自分の世界に籠りがちな性格だったこともあるが,お祭りや隅田川の花火は娘が生まれた30台半ばで避けるようになった記憶である.
恋愛寿命:調査結果によると,男性が概ね60歳ぐらいまで,女性が55歳ぐらいまでのようだ.コンプライアンス意識の高まりで恋愛感情を避ける風潮が強まっているらしい.キャンディーズなどの昭和の歌詞を聞くと,時代の変化を実感する.最近の時代なら,違う伴侶を選ぶ選択肢が拡がっていたかもしれぬと考えたりするところもある.
熱中寿命:研究者としては,熱中寿命は資質の終焉と思えるところがあるのだが,若い頃の熱中度合いとは明らかに違っている.若い頃よりも視野も拡がって,社会を見る目も違ってくる.それにも増して,熱よりも冷静な思考が強まっていくのが自然だと考える.
還暦も過ぎると,そんなこんなの想いは離れて,これまで培った自分の教養に見合う世界で,楽しく暮らしていきたいと思うところである.
「あの行動」しなくなる年齢調査 深酒42歳11カ月、自称僕39歳3カ月
2025年5月31日 日経
大盛りを注文できなくなるのは何歳? 深酒を控えたくなるのは? 行列してまでラーメンを食べようと思わなくなるのは? バイキングに行きたくなくなるのは? 更に、新商品にワクワクしなくなる年齢、バーゲンに行きたくなくなる年齢、恋愛感情を持てなくなる年齢は・・・・・・気になる行動や意識に関する「寿命」を徹底調査した結果を、博報堂生活総合研究所の研究員が徹底解説する。
「ぼく」と自称できるのは何歳まで?
突然ですが質問です。あなたは、ご自分のことを他の人とのやり取りの中で何と呼んでいますか?おそらく「私」「自分」「ぼく(僕)」、もう少しカジュアルな言い方なら「おれ(俺)」「うち」「アタシ」あたりが一般的なのではないでしょうか。SNSや文章では「ワシ」や「小生」、中には下の名前で自称する人もいるかもしれません。
博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)では、「生活寿命」について定量調査を行っています(首都圏・阪神圏/20〜69歳男女1000人/インターネット調査/2014年1月・19年8月・24年8月実施)。生活寿命とは、ある生活行動ができなくなったり、したくなくなったりする年齢のこと。
この調査の中に、自分のことを「ぼく」と呼べなくなる、【ぼく寿命】という項目があります。24年の調査における【ぼく寿命】は39歳3カ月でした。なおこの調査は、直近の24年だけでなく、14年、19年と3回にわたって実施しています。【ぼく寿命】については、14年の調査では39歳0カ月だったので大きな変化はありません。つまり、「ぼくという自称は10年前も今も30代まで」と分析することができそうです。

過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
女性の「ぼく」許容年齢は低い
生活寿命の「何歳くらいまでできそうか(できたか)」という質問は、回答者がその年齢を既に過ぎているかいないか、もしくは性別によっても想像力に差が出るでしょう。そこで【ぼく寿命】について、もう少し掘り下げてみましょう。
最新の24年調査によると、20代が回答した【ぼく寿命】は36歳5カ月。回答者の年代が上がるほど寿命が伸びていき、60代では42歳3カ月。伸びても40代前半までで、50代、60代は「ぼくは卒業したもの」と考えているようです。
また、男女の意識差も顕著でした。男性が考える寿命は44歳3カ月でしたが、女性の回答は34歳2カ月。つまり女性にとって「ぼく」という一人称は、男性が思っているよりずっと若い人が話す言葉という印象が強いようです。
小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
このデータから見えてくるのは、「人生100年時代」といわれる昨今にあっても、それは「変わらない日常が続いていく」わけではない、と考えられているということではないでしょうか。自らが考える、もしくは社会がイメージする「年齢的な限界」は確かにあり、それに挑戦し続けるのか、もしくはリミットを受け入れて自分を変えていくのか。長い人生ですから、何度もそうした選択が迫られることでしょう。
「食」にまつわるさまざまな寿命
続いては、生きている限り一生付いてまわる「食べ物」についての生活寿命を24年調査のデータから紹介します。
まず、結構早めに迎えてしまうのが、大盛りを注文することができなくなる【大盛り寿命】で42歳3カ月。次の日のことを考え、深酒を控えたくなる【深酒寿命】が、42歳11カ月で続きます。大盛りと飲み過ぎは40代前半に終了してしまうというこの結果は、飲んだ翌日の体調や食べ過ぎた後の胃もたれなどの体験から、納得感がある人も少なくないのではないでしょうか。
あなたは大盛り、できますか?(写真:yukimco/stock.adobe.com)
このように歳とともに徐々に失われていく、食の楽しみ。続いて迎えるのが、行列してまでラーメンを食べようと思わなくなる【行列麺寿命】で43歳6カ月です。日本人の国民食ともいわれるラーメン、特に人気店は行列が絶えないものですが、40代も半ばを迎える前に寿命がきてしまうのです。また、「大盛り」とも少し似ていますが、食べ放題に行っても元が取れないな、と思うようになり行かなくなる【バイキング寿命】が45歳2カ月。バイキングや食べ放題のほうが大盛りよりも非日常なイベント性があるせいか、少し長く楽しめるようです。
小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
今回調査した食べ物の中で比較的長かったのが、意外にも焼き肉がヘビーに感じて食べたいと思わなくなる【焼き肉寿命】で50歳11カ月です。

焼き肉寿命は……(写真:Tsuboya/stock.adobe.com)
50代に足をかけたものの、実は19年の調査(53歳5カ月)と比較すると2年6カ月も短くなっています(14年は52歳9カ月)。中高年の人が焼肉店でしばしば言う「カルビは要らないから、赤身の希少部位を食べたい」といった発言は、こうした限界を乗り切ろうとする工夫なのかもしれません。

過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
「新発売」vs「新規開店」、寿命が長いのは
消費にまつわる生活寿命も見ていきましょう。スマートフォンやゲームなど、昔は新機種や新タイトルが出ると「できるだけ早く手に入れたい」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。しかし年を取ると、若い頃よりは新しい商品やお店に食指が動きづらくなるもの。では新商品と新規開店、生活寿命はどちらのほうが長いのでしょうか。次々と新しくなる商品のモデルチェンジにワクワクしなくなる【新商品寿命】は、24年調査では41歳9カ月。これまで紹介してきた他ジャンルの生活寿命と比較しても、かなり短いことが分かります。しかも、14年の調査では45歳9カ月だったため、この10年間で約4歳分も短くなりました。情報が増え続ける時代に暮らしている生活者たちは、新発売やモデルチェンジといった情報にまひ、もしくは疲弊しやすくなっている可能性も高そうです。新商品のマーケティングには、まだ受容性がある若いうちからファンになってもらって関係性を育む、といった長期的視野が必要になるかもしれません。
一方で新規開店の店や商業施設に行ってみようと思わなくなる【オープン寿命】は、同じく24年調査で52歳2カ月。【新商品寿命】と比較すると10歳以上長いことが分かりました。さらに、14年調査の52歳0カ月からはむしろ微増しており、【新商品寿命】とは全く異なる変化をしているのです。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
「特に買いたいものはないけれど、新しくできたお店はとりあえず見てみたい、行ってみよう」という心理は分かるような気がします。今の時代、モノとしての新商品よりも新店を体験するようなコトのほうが幅広い世代に受け入れられる可能性がある。そう考えれば、コト消費の視点を補助線にするとマーケティングのヒントが見えてくるのではないでしょうか。
【モール寿命】【人ごみ寿命】の変化には男女差も
買い物やお出かけについては、他にも興味深いデータがあります。ショッピングモールやアウトレットが広過ぎて、買い物に行く気がしなくなる【モール寿命】、24年調査では54歳10カ月。14年調査(男性は55歳5カ月、女性は55歳3カ月)と比較すると、男性は2カ月伸びて55歳7カ月になりましたが、女性は逆に1歳3カ月短くなり54歳0カ月となりました。
ショッピングモールでの買い物に寿命はある?(写真:YY apartment/stock.adobe.com)
10年前にはほぼなかった男女差が、10年間で1歳7カ月まで開いたことになります。ショッピングモールやアウトレットは女性を対象としたブランドや商品が多いイメージで、やや意外な印象ですが、どのような背景があるのでしょうか。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
一つの仮説ですが、参考になりそうなデータは、繁華街やイベントの混雑など、人ごみに足を踏み入れるのが嫌になる【人ごみ寿命】です。14年の調査で、男性は50歳3カ月だったのが24年は1歳2カ月短くなって49歳1カ月に。しかし、女性は50歳8カ月から3歳2カ月も短くなって47歳6カ月となっています。新型コロナウイルス禍前の19年と24年の結果を男女別で比較してみると、男性は48歳3カ月から49歳1カ月に10カ月伸長。対して、女性は48歳11カ月から47歳6カ月と1歳5カ月短くなりました。コロナ禍の前後で人ごみに対する男女の意識は、逆のベクトルを向いているように見えます。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
バーゲンより長いネットの買い物寿命
デフレからインフレへと、モノの値段や買い物の在り方が大きく変わりつつある昨今。安く買い物するための努力にも、興味深い生活寿命が見られます。セールやバーゲンにわざわざ出かけて、買い物をしたくなくなる【バーゲン寿命】です。24年調査では、男性で45歳4カ月、対して女性は47歳8カ月でした。特にファッション領域などに多いバーゲンセールには今も昔も女性が多く集まる印象がある通り、実際に女性のほうが2歳4カ月も生活寿命が長いことが分かります。とはいえバーゲン時期は混雑しやすいこともあってか、「50代からは無理してバーゲンに出かけて買わなくても……」といった印象です。
ただ、この10年で男女とも【バーゲン寿命】はかなり短くなっています。14年調査では、男性は24年調査よりも1歳4カ月長い46歳8カ月。さらに、女性は同3歳2カ月も長い50歳10カ月だったのです。生活者にとってはモノの買い方が多様化している一方、ファストファッションなどいつも低価格で販売する戦略を取る企業も増えつつあります。そんな中で、バーゲンという買い方は、「若い人のもの」という意識が強くなっているのでしょうか。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
今の時代、バーゲンに出かけるよりも生活寿命が長いのは「ネットでの買い物」のようです。ネットオークションに参加するのが面倒になる【ネットオークション寿命】は、同じく24年調査では男性で55歳1カ月、女性は50歳7カ月でともに50代となりました。もともとはインターネットでの売買というと、中高年には距離があるようなイメージです。しかし、ネットオークションやフリーマーケットアプリの普及によって、不用品を売って中古品を安く購入する行動は中高年を含めた幅広い年代の生活者にとって自然な買い物スタイルになっていることが、生活寿命の比較からうかがえます。
小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
なぜか急速に縮む【恋愛寿命】
人間関係についての生活寿命も見てみましょう。人生が長くなる一方で、熟年離婚が増えるなど男女の関係も変わりつつあります。他人に対して恋愛感情を持てなくなる【恋愛寿命】は、24年調査では55歳9カ月。男女別で見ると男性が57歳11カ月、女性は53歳7カ月と男女差がやや大きく、平均寿命が長い女性のほうがなぜか【恋愛寿命】を迎えるのは早いようです。
小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
この【恋愛寿命】は、14年に60歳6カ月だったのが19年には59歳7カ月となり、24年は55歳9カ月と特にここ5年間で急激に短くなりました。しばらく前から若者の恋愛離れや草食化については広く指摘されていますが、恋愛離れは若者に限った話ではない様子。
近年、生活者のコンプライアンス意識が高まったことで日常生活に恋愛感情を持ち込むことへのリスクが上がり、恋を卒業する年齢が下がっている可能性があります。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
恋愛の代替として心の隙間を埋めるかのように伸びているのが、「推し活」に関わる生活寿命です。アニメ、アイドル、鉄道などに熱中し続けられなくなる(もえなくなる/推せなくなるなど)【熱中寿命】は、14年調査の44歳2カ月から、24年には48歳0カ月へと大きく伸びました。男性は、44歳4カ月から46歳7カ月と2歳3カ月伸びていますが、女性は44歳0カ月から49歳4カ月と何と5歳4カ月も伸び、この10年で男性を逆転しました。
推し活熱は高まっているが……(写真:kanzilyou/stock.adobe.com)
生活総研が24年に発表した「若者30年変化」でも、Z世代とその親世代を対象に研究を進める中で、母と娘で同じアイドルグループやeスポーツ選手を推している、というケースが数多く見られました。このまま変化が続いていくと、【熱中寿命】が【恋愛寿命】を逆転する日もそう遠くないかもしれません。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
男性と母親との関係が劇的に改善
「母娘での推し活」という生活者の事例を紹介しましたが、母子の関係にまつわる生活寿命について、もう少し深掘りしてみましょう。母親と2人でショッピングに行くのがはばかられるようになる【母親デート寿命】は、14年調査では40歳3カ月でした。それが19年調査では42歳9カ月、24年調査では45歳10カ月と着実に伸びています。14年と24年の調査結果を男女別で見ると、女性は50歳10カ月から54歳3カ月と3歳5カ月の伸びでしたが、男性は29歳9カ月から37歳6カ月へと7歳9カ月も長くなりました。
過去のデータに関しては、2024年調査の対象年齢にそろえて再集計。また、小数第1位を四捨五入して表記しているため、差分の見た目の数値と異なる場合があります(出所:博報堂生活総研)
母親との関係が、特に男性において大きく改善していることについては、先に述べた「若者30年変化」でも注目し、副題を「Z世代を動かす『母』と『同性』」としたほどです。生活総研ではそうした母親たちを「メンター・ママ」と名付けました。そうした実態に【母親デート寿命】の変化を重ね合わせると、母親との親密化・関係改善はZ世代にとどまらず幅広い世代に広がっている様子が見えてきます。生活寿命は、実態ではなく生活者の想像力が描いたイメージです。しかし、だからこそ自由な視点が映し出す社会の姿や変化の軌跡が見えるように感じます。超高齢化が続く世の中で、どんな生活寿命は伸び、また縮んでいくのか。これからも定期的な観測が楽しみです。
(博報堂生活総合研究所 高橋真)
[日経クロストレンド 2025年5月15日の記事を再構成]
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