40年余り昔の記憶である.中国は1978年に鄧小平が改革開放政策を推進して間もない頃で,未だ経済発展前だった.地図オタクの自分は毎日地図帳と地理統計を眺めて過ごしていた.中国という巨大な国が将来経済発展すると日本のような小国は太刀打ちできなくなると思い,一方でこの広い国土が押しなべて経済発展するのはいささか困難が多いなどと漠然と考えていた.そんな素朴な想いから,当時持っていた地図帳に勝手な国境線を引いたのである.記憶によれば1枚目の図の通りだ.深く考えた訳ではないので,昨今に見る地方区分けや,言語(方言)や料理文化の分布からすれば,適切ではない面もあるかもしれない.主に地形や地歴の観点から,周辺の3民族自治区の領域と台湾を除いて概ね日本国と拮抗した規模に揃うよう分けた訳だ.ともかく,当時はこれなら欧州のように平和に経済発展を共有できるような気がしたのである.無論全くの空想空論の範疇に過ぎないが,あくまで未来の平和を願ったものだ.
さて,そんなことを思い出して,実際に直近で参照できた2018年の経済統計に照らして比較してみたのが2枚目の表である.当時の中国の人口は8億余りと記憶していたが,実際には1978年で9.6億人のようだ.当時はもう少し古い統計を見ていたもかもしれぬが,現在の14億人のざっと2/3程度である.日本の人口規模を上回るのは華北国のみで,華東国が同程度,あとは同等以下だったと記憶している.今となっては周辺部の民族自治区の3国を除いて概ね日本国と人口が同等以上で,華北国に至っては2.7倍にもなってしまった.更に省ごとに分解するぐらいでないと人口規模では拮抗しない.経済規模でいえば,GDPを中国全土と比較すると日本の2.7倍を超えるのだが,この11分割なら未だ日本国を超える国はないようだ.一人当たりGDPは,未だ華東国を筆頭とする沿海国と内陸国では倍半分近い差があるようだ.その華東国も未だ日本国の1/3程度の水準に留まっている.
もし,この地図のようにばらばらの国になったなら,おそらく地域間格差は更に大きくなり,華東国は台湾並みの経済水準に発展し,半数ぐらいは民主政治国家になるのではないかと勝手な想像をしていた.そんな妄想が何の役にも立たないのは,この40年余りの歴史が示している.しかし,巨大な領土を中央集権体制で乗り越えてきた半面,時おりばらばらになる時代もあったのが中国史の流れだ.現在の強権政治がこの先どのように推移していくのか?統一王朝が農民一揆で何度も倒れた歴史に照らして観察してみたいと思う.中国人が見たら怒るかもしれないが,くれぐれも,この先の時代が平和で戦争が無い東アジアであってほしいと願っている.
以下は,分割案が文化的な妥当性を検討するために参照している.先ずは,中国語の方言の分布図の一例だが,官話と書かれているのは北京語に近い北方系の言葉(普通語と言っていたように思う)だという.華東や華西は北方系の官話とそれ以外が混在するが,それほど無茶な分け方でもない気もするが,どうだろうか?
次に,中華料理のいわゆる4大料理の分布図の一例である.概ね華北が北京料理圏,華東が上海料理圏,華南が広東料理圏,西南が四川料理圏に対応するが,華西は四川料理圏と上海料理圏が混在している.実際はこの図のような線引きよりも,なだらかな遷移を伴う分布のようだ.




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